舞鶴へはクルマやバスで行ったことはあるものの、鉄道は何気に初めてだったりしますします。
京都口の山陰線の駅訪問を済ませ、京都に戻ると
上り特急「はしだて6号・まいづる12号」として京都に丁度到着。
折返し整備のちに、特急「きのさき15号・まいづる11号」になるようです。前4両が豊岡行き「きのさき15号」、後ろ3両が東舞鶴行き「まいづる11号」です。
豊岡行きと東舞鶴行きが併結しているという、いわゆる「多層建て優等列車」で、国鉄時代であれば全国的にも割とよく見られた運転形態でしたが、時代が進むにつれスピードアップし、さらに本数の増加等で「多層建て」にする必要はなく、いつの間にか珍しいものに…
折返しの清掃が済んで、18時20分に乗車。
287系は初めて乗りますが、アコモ的には北陸特急の683系あたりの意匠を踏襲しているようです。これがJR西日本の特急のスタンダード、ということなのでしよう。
自動放送が流れて、18時28分の定刻に発車。
しずしずと走って最初の停車駅、二条着。
勤め帰りといった感じのスーツ姿の客が数人、乗り込んできました。
園部まで山陰本線は複線になりましたが、
速度は控えめ。
速達性よりは目的地のバラエティさに富んでいる、というのが山陰特急の身上、というのは国鉄時代から変わってないようです。
山あいの保津峡を過ぎて亀岡市へ。国鉄時代は桂川沿いを忠実にトレースするルートを辿り、カーブの連続で特急といえど鈍足を強いられましたが、今やあっという間にトンネルで山をぶち抜いて一直線に進み、
48分、亀岡着。
京都から20分ほどで着く亀岡はもう「通勤圏内」と言っても過言ではありません。そんな感じの、カジュアルな出で立ちの客がパラパラとここで降りていきました。
千代川手前から速度が落ち、八木あたりでは最徐行になったもののそこから先はテンポよく走り、
19時01分、園部着。
「きのさき」編成あたりからパラパラと降りる客が見えました。
複線区間はここまでで、普通電車も大半がここで折り返すことから「京都都市圏輸送エリア」もここまで、といった感じです。
ここからは単線区間になり、電化はされているものの基本的には古い「山陰本線」を進みます。
コトコト揺られて11分、日吉着、。
見る限り、ここでの乗降はなさそうでした。
「小さな駅なのに特急が停まるんですね」
と車掌さんに尋ねると、
「ほぼ無人状態の駅ですよ。でも朝は通勤利用があるのでそれなりには乗ってきますね」
との事。
すれ違いの列車もなく、3分ほど停まって発車。
人影もなく、対向列車も来ない駅にぽつねんと停まるという「不思議な」体験をしたような気がしました。
リズミカルなジョイント音を響かせて、
人気のない駅を通過。携帯電話の地図で見ると胡麻駅のようです。
駅間はリズミカルに走って、駅が近づくと俄に速度が落ち、ゴトゴトッとポイントを踏んで惰性で駅を通過。で、またポイントを踏み再び加速…この一連の挙動は非電化だった国鉄時代から全く変わってません。
電車になろうとも振り子でない限りは、最新型の電車であっても国鉄チックな所作から逃れられないのかもしれません。
車内はというと、亀岡から動きは殆どなく客の大半は居眠りをキメこんで、一部がコンビニのつまみで晩酌という感じで、至って静かな車内です。
「きのさき」「まいづる」という列車名からすると、さぞ観光客で一杯…ならいいのですが、18時に出るこの特急は朝、沿線から京都に用務で出て来た客を夜の帳が降りるあたりに自宅へ「戻す」・・・半ば「ホームライナー」的な存在なのかもしれません。
和知を過ぎたあたりで、
「次の綾部で、豊岡行きと東舞鶴行きの切り離し作業の準備を行います。通り抜けが出来ません。ご了承願います…」
という案内が流れ車掌さんが次の車両へ…
44分、綾部着。まとまった降車があって、
ニブい音が響いて切り離し完了。
駅員さん(操車係)がいるので車掌さんワンマンの切り離し作業ではなかった模様。
48分、「きのさき号」が先に福知山方面に向けて発車。ややあって52分、「まいづる号」も発車。
逆 向 き に …
しかし終点まで20分ほどなためか、誰も座席を回転させる客はおらず、シートは逆向きのまま…九州の特急「ソニック号」ならば、小倉駅で一大イベントの如く客が座席を転換させますが、こうも皆「逆向き車窓」のままだと少し奇異に見えますね…
梅迫で運転停車。普通列車と交換…と思ったらどうやら5分ほど遅れているそうで。
223系の2連がやってきました。多客で遅れているのかなと思いましたが、車内はガラガラ…おそらく小浜線が宮舞線(京都丹後鉄道)からの接続待ちと思われます。
線路規格が低くなったのか、小刻みに揺られながら
4分遅れで西舞鶴着。どっと客が降りてちょっとした賑わいがホームに…
停車時間を削ったのか、3分遅れで発車。
20時22分、終点の東舞鶴に到着。
少ない客がパラパラと、改札口へと吸い込まれていきました。
* * * *
国鉄時代を彷彿とさせる「多層建て特急列車」に乗った訳ですが、山陰線内は通勤特急、そして舞鶴在住者の京都方面用務利用者の「帰宅列車」が、この列車の実態なように感じました。
京都縦貫自動車道が全通し、高速バスとの競合に晒されている「まいづる号」ですが、単線で容量の少ないダイヤを「多層建て」で有効に活用し、異なる行き先の複数の列車を効率よくまわす、という点において国鉄からJRへ共通した認識として受け継がれているようで、まだまだ山陰本線の特急も捨てたものではないな、と感じました。