【令和3年10月31日乗車】
特にこの列車だから、と意識して切符を取ったワケではないのですが・・・結果としてネタ列車に乗れた恰好になりました。
日本旅行のネット向け商品「バリ得こだま」というものがあって、通常は13,000円台の新大阪~博多の新幹線運賃が8,400円~という激安になるプランで、「こだま・ひかり限定」という「縛り」はあるものの、時間に余裕があればこれほどコスパのよいプランは見当たらない訳で・・・かれこれこの商品で福岡を往復するのは2回目です。
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で、新大阪駅に着いて「レールスターかな?それとも500系かな?」と思いつつホームに上がると、
まさかのV2編成、「ハローキティ」ラッピング編成でした(笑)
ちょうどホームに上がった11時12分に入線し、博多からの「こだま840号」としてやってきた利用者がどっとホームにあふれましたが、その脇をかいくぐるように家族連れが先頭車付近で記念撮影・・・老若男女問わず誰彼となく記念撮影に勤しんでいる姿はなかなか壮観です。
隣に鹿児島中央行きの「さくら553号」が先発していきましたが、そのホームの乗客がカメラやスマホを向けていた先は九分九厘までこちらという面白い状況になっていました(笑)
清掃が終わり車内へ。
シートもひょっとしたら特注なのかな・・・と思いましたが、こちらは他の500系と同じ4列シートでがっかりしたようなホッとしたような・・・ただ車端部を見ると、
ドアがキャラクターが身に着けているリボンをあしらったものに、そして妻面の広告掲示スペースにはキャラクターと500系をあしらった絵が飾られていました。パソコンソフトやサービスの広告ばかり見てきた目には違和感ありまくりです(笑)
ちなみに2両後ろ(新大阪方)の6号車も4列シートですが、こちらはシートの色が違っておりおそらくではありますが、グリーン車のシートを活用したものと思われます。車内を見回ってて6号車の風景を見て軽く後悔・・・(笑)
車端部にはバゲージスペースがありますが、ここにもキャラクターが自転車に乗っている絵が貼りだされており、要するにトランクケースや折り畳み自転車をここに置いて下さい、って事なのだと思いました(一見すれば判りそうなものなのですが、キャラクターがこれでもかって感じであちこちに盛り込まれているせいで思考が混乱してしまい・・・笑)
一人混乱しているうちに定刻に発車。
車内の「入り」は20人も乗ってたでしょうか。緊急事態宣言明けでもっと乗ってくるのかなと思ったのですが、いつもの「山陽こだま」指定席の風景でした。
最初の停車駅・新神戸でもホームドア越しに家族連れが記念撮影・・・
西明石で最初の「バカ停」(長時間停まる事の俗称)
国鉄時代は客車列車などが20分も40分も停まるという「バカ停」があちこちの駅で行われていましたが、速達性が売りの新幹線にあっては2分以上の停車は基本的に「長時間停車」の範疇にある、と個人的にカテゴライズしています。
肝心の後続列車は・・・1本が通過していっただけでやや拍子抜けです。
この後の姫路でも4分停車し、西明石と同様に後続の列車を待避していました。驚くべきは新大阪から乗ったであろう家族連れ数組がここで降りて行ったという事。大人2人に子供2人だと新幹線の運賃もバカにならないハズだが、やはり「ハローキティ」のキャラクターの力なのだろうか。
走っている最中にこのキャラクターのことを検索してみましたが、初出は1974年。そういえば僕が子供の頃も、ハローキティはサンリオのショップ等でよく見かけたのを思い出しました。
となると、僕より若い夫婦子連れであればその夫婦が子供時代でも、どっぷりとそのキャラクターに浸っていた可能性がある訳で、今の子供に人気がある一方でその子供の親もまた「馴染み深い」キャラクターという事になるため、出費もさほど抵抗がないという事なのでしょう。
岡山県に入り、まだ東岡山も過ぎていない頃から車内放送で乗り換え案内が流れ12時42分、岡山着。利用者の動きは自由席中心で指定席はさほど動きがありません。
その岡山を出たあたりから日差しが強くなりだし、たまらなくなってサンバイザーを下したものの新倉敷が近くなったあたりでまた日は雲に隠れ、そうかと思ったら停車中はカンカン照り・・・岡山は「晴れの国」とはよく言われていますが、季節の変わり目とあっては日差しの移り変わりも一定ではない、という事なのでしょう。
その新倉敷では7分停車。「バカ停」にもだいぶ慣れてきました。
コンコースに降りて買い物をすませ、ふと思ったのが外観の派手さとは対照的に車内は意外なまでに静かだったことを思い出しました。
子供連れが多い列車ではありますが、はしゃいで走り回る子供はほとんど見かけず、どちらかというと大人の方が自撮りや記念撮影ではしゃいでいる風に見えることから、改めてこのキャラクターの年齢層の広さを見せつけられたような気がします。
ちなみに博多寄りの1号車はイベントスペースになっており、そちらは何か賑やかそうな気がします。
買ってきた「賀茂緑」とスナック片手に携帯電話のアプリで映画鑑賞。
車内Wi-F-のおかげでこういう芸当もできるので、用途によってはゆっくり走る「こだま」の方が長めに楽しめるような気がします(但しJRの仕様で30分おきに接続が切れるので操作が必要ですが・・・)
福山では元「ひかりレールスター」用の700系「こだま」と並び、
東広島で何回目かの「バカ停」。
印象的だったのは家族連れが列車から降りる都度、車体をバックに記念撮影していたこと。1分ほどしか停まらない駅でも乗り込んでくる利用者は大急ぎでやっていただけに、もはや「習慣」といってもいい行動様式な気さえしてきました。
自席へ戻る際に1号車のイベントスペースを「表敬訪問」
公式サイトでは「ハロー!プラザ」と呼ばれており、なるほど・・・あたり一面「ハローキティ」だらけです。座席も取っ払って1車まるごとイベントスペース、というのはこの「ハローキティ新幹線」の前にやっていた企画の「エヴァンゲリオン新幹線」でも取られていた手法で、収容人数の少ない500系先頭車の有効活用方法としては最適解なのでしょう。
「ハローキティ」限定グッズの販売やJR西日本の観光地案内ビデオが流れていたりと色々工夫がなされていましたが、目を引いたのはカバーをかけられた車内販売用カートが並べられていたこと。
車内販売のない「こだま号」で、おそらく特別に「ハローキティ」グッズなどを販売していたのでしょうけど、コロナ禍で車内販売が全面的に禁止になりここに留め置かれていると見受けました。
お世辞にも人気があるとは言えない「山陽こだま」だからこそ出来た、1社企業の「全振り」仕様への大胆な改装にJRの「本気」を見たような気がします。
8分停車の広島ではホームに出て買い物をしたり、ここの記事用の写真の構図を色々考えてウロウロしていたらもう発車時間に・・・警備員さんに急き立てられる格好になって車内に戻りちょっと恥ずかしい思いを・・・や、8分だから色々出来ると思って余裕ぶっこいていたら痛い目に遭いました(汗
ここで新大阪から乗ってきた外国人2人連れが下車し、変わって外国人4人組が乗車するも、彼らは次の新岩国駅で降りて・・・多分岩国基地絡みの軍人さんか関係者ってところでしょう。彼らにとって「こだま号」はコミュータートレイン(通勤列車)的なものかもしれません。
おやつを入手できたのでしばし携帯でドラマ放映を鑑賞し、気が付いたら徳山に着くところ・・・
「工場萌え」という言葉が出来て久しいですが、新幹線の車内からこれだけのプラント風景が見れるビューポイントはそうそう無いような気がします。
ここでも9分停車・・・
後続の「さくら号」が幾分か速度を落としながら通過。
山陽新幹線は比較的直線的に線路が敷かれていますが、ここ徳山付近については在来線の駅との接続を考慮した結果、大きくカーブした構内を持つ駅になりました。
このカーブゆえに「のぞみ号」のような速達性を求められる列車は減速を強いられ、スピードアップの足枷となっていますが、趣味者にとってはきれいなカーブを描く新幹線を撮れるポイントとして知られています。
それにしても行程の後半とあって人の動きは岡山や広島以上に少なく、月並みな表現になりますが時間の流れがゆっくりとしているような気がします。速達性が身上の新幹線にあって、「こだま号」の旅はのぞみ、ひかり以上に時間の使い方を試される列車とも言えるでしょう。
そんなゆっくりとした時間の中を新山口、厚狭(ここでも7分停車)と進み本州最西端の新幹線駅・新下関に滑り込み最後の「バカ停」(4分停車)
ホームに差し込む日が車内を照らし西に傾いているのに見とれていると、サーッという音で「のぞみ」が通過。数秒のちにはまた日が差して・・・そして発車の案内。レポを書いているものがこんなことを言っちゃいけないのかも知れませんが・・・飽きてきました(笑)
新関門トンネルを抜け福岡県入り。
広島以来の「都会」を見たような気がします。ここであらかたが下車し、
新大阪発車時点の空き具合よりもさらに閑散とした雰囲気に・・・長距離列車の終点間際の、あの「疲れたような空気感」が漂っているようにも見えます。
筑豊の北方をトンネルの連続で抜け、糟屋郡のパラパラとした民家の点在した風景がものの数分で一気に福岡市内の倉庫群からビル群に変貌し、
16時11分、定刻に終点の博多に到着。
正確には「こだま851号」は「こだま」の冠が取れてただの「851号」になって、博多総合車両所の脇にある博多南駅へ行く「特急列車」に変身します。
ゆえにホームの上はごった返しはすれど終点に着いた列車という雰囲気はあまり感じられず、これから博多南へ向かう利用者が整然と並んでおり、降車位置では「こだま851号」の利用者と「851号」の利用者が「対峙」する格好になって、これはこれでシュールな風景かもしれません。
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11時半過ぎに新大阪を出て、博多に16時過ぎに到着・・・距離の長さと時間の長さが比例する列車ではありますが、「こだま号」とは先に書いたように「利用者が時間の使い方を試される」列車でもあると思っているので、そういう意味で「ハローキティ」を主題にした変わった列車でそういう時間を過ごせたというのは僥倖と言えるかもしれません。