嵯峨野観光鉄道 嵯峨野13号

京都に出て、当初の目的を達したので「勢い」で唐突に乗ってみました。

最初は「e5489」で指定が取れる、と公式にあったのでアクセスしてみたのですが、どうも要領が掴めなくて・・・それに「トロッコの指定はなかなか取れない」ってのを、どこかで聞いていたので不安になりながら始発駅のトロッコ嵯峨駅へ。

窓口へ行くと意外というか、スンナリと指定席が取れやや拍子抜けしました。

向こうがJR嵯峨野線ホーム。トロッコ乗り場は手前にありますが駅を一旦出ないとここに着けません。

面倒くさいなと思う反面、この手間も「これから観光鉄道に乗るんだ」という気分の高揚に必要なものなのかも知れません。

14時50分過ぎに改札開始。乗客同士の錯綜を防ぐため、という事で1〜4号車と5号車は別々に改札。

指定された号車あたりに着くやいなや、踏切が鳴って

56分、トロッコ亀岡からの便が到着。ホームにいるのは観光客ばかりですが、列車がやってくるのをカメラに収めようと一斉にカメラやスマホを向けているのが、観光鉄道「らしい」雰囲気です。

亀岡からの客の降車が終わって、いよいよ乗車。

木製ベンチがズラリと並んでいます。床も板張りなのでトロッコ車らしい、いい雰囲気です。

ほぼ満席の状態で定刻に発車。

嵯峨野トロッコ列車名物の駅員さんの「お見送り」を見つつ…

ズシン、ズシンとトロッコ特有の振動が心地よく体を抜けて「機関車牽引の列車に乗ってるんだな」と実感します。

もっとも亀岡行きは機関車が後ろから押しているので、正確には推進運転の列車に乗っている、という事になりますが・・・

ほんの数分、山陰本線を走って程なく分岐し、

亀山トンネルに突っ込んだところでトロッコ嵐山着。ひんやりしていて気持ちいいです。

ここからも乗車があって、掛け値なしの満席状態に。ここでも駅員さんの「お見送り」があったのですが、当方がトンネル内なので見えず…

程なくトンネルを抜けると、

保津川沿いに出ました。まさに「風光明媚」とはこういう風景の事を言うのでしょう。

山陰本線の嵯峨嵐山〜馬堀間は平成初期にトンネルの直線ルートに付け替えられ、従来の川沿いの路線は廃線の憂き目に遭ったのですが、平成3年に同社が設立され観光鉄道の路線として生まれ変わりました。よくぞ放棄せずに観光資源として活用したものです。

「まもなく保津川下りの舟とすれ違います…」

というアテンダントの案内と共に、眼下には急流を下る舟が…向こうも恐らくこちらの案内を船頭さんから受けているのでしょう。お互いに手を振り合いました。ベタなシチュエーションと思いつつも、「非日常」を楽しめるというのは重要な事だと思います。

清瀧トンネルに入る手前で保津川を渡り、乗客の視線は左側に。

その清瀧トンネルを抜けてトロッコ保津峡駅着。

ここは山陰本線時代の駅をそのまま活用したところらしく、川っぺりに張り付く駅はかつては「秘境駅」的な扱いをされてましたが、トロッコ列車の駅になってややあか抜けたような気がします。

三十秒も停らず、すぐに発車。

こういう国鉄時代からの保線小屋がそのまま残っている、というのも車窓の重要なポイントです。

線内で一番長い朝日トンネルへ突入。他のトンネルを通過時もなかなか涼しかったのですが、ここはとりわけ涼しかったような気がします。

トンネルを抜けると終点はもうすぐ…

複線の山陰本線が寄ってきて列車も減速。

終点のトロッコ亀岡に到着。

亀岡と名乗っていますが、JR側では馬堀が至近です。

* * * *

山陰本線の新線付け替え完了の時から、この観光鉄道は走っていたと言っても過言ではなく、ようやく乗れた、といった感じです。

乗務員さんのマイクパフォーマンスは秀逸で、恐らくこれが嵯峨野観光鉄道の「売り」といってもいいかもしれません。

あくまで保津峡の景色を、昔懐かしいトロッコ列車で愛でる事に徹するという、観光鉄道の原点を忠実に守っており「安定感」を感じました。

「また乗りたい」と思わせる鉄道なのは間違いないと思います。

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