大阪~奈良間の直通列車といえば、大阪環状線経由の「大和路快速」という頗る便利な列車がありますが、敢えてその区間に優等列車が設定されていると聞いて「無謀な・・・」と率直な感想を思いましたが、まあ何事も実際乗ってみなければ判らないと思って乗ってみました。
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大阪駅の桜橋口からさらに西へ進み、最近出来た「西口」から改札へ。結構歩いてようやく「まほろば号」が発着する22番ホームへ。
それまであった梅田貨物線が地下へ潜ったと同時に、ホームが設けられたので京都発の関西空港行き「はるか」や新大阪始発の「くろしお」がやってくるのは事前情報で判っていましたが、そこに「特急まほろば 奈良」という案内を見ると「おお」という驚きと共に「ホントに設定されてるんだ」って奇妙な感覚に捉われます。
9時49分、入線。287系の3両という結構短い編成で、九州や四国で2両の特急を見慣れた目にはそれほどの驚きはありませんでしたが、大阪駅という大きな駅にぽつねんと短い特急列車が佇んでいる、という構図はやはりシュールです。
指定券にあった3号車に乗り込むと、僕以外には4名ほど・・・このまま奈良までこんな感じかなと思いつつ、運転士よりの案内を聞く。停車駅は新大阪だけとの事。
287系自体は以前「まいづる号」でも乗車体験があるため、基本的なアコモ等は変わってませんでしたが、こちらは日根野所属車で主に「くろしお号」あたりで使われているようで、そういった意味での「新鮮感」はあります。
このブログ以外にも資料写真として外で撮影していたら、記念撮影する客もチラホラ居ててその瞬間だけは「観光列車」っぽさがあります。
そんなこんなをしているうちに、発車。
ほどなく地上へ出ましたが、永らくここは地上しか走っていなかったのとこの区間の乗車は初めてなので、驚きと共に何処を走っているのかという未知の「不安感」に似たものを感じました。
10時3分、新大阪着。7〜8人が乗車。
発車直後の「次は終点、奈良です」という案内に、これまた新鮮さを覚えます。
ほどなく梅田貨物線を離れ、おおさか東線へ。それほど加速をつけるでもなくまったりと・・・
淀川に架かる赤川橋梁をゆっくり渡ります。
17分、片町線に合流し鴫野を通過。
数分ほどして放出を通過し、再びおおさか東線へ。
しかし本当にゆっくりで、推定70キロ程度くらいの速度で南下。うーん、これならわざわざ転線を多く必要とするおおさか東線経由ではなく、かつて臨時で走っていた「ならシルクロード博」で運行した大阪環状線経由でも良さげに思えてきます。
JR河内永和でライバルの近鉄奈良線と交差し29分、正覚寺信号場通過。
新加美を過ぎたあたりからいよいよ減速し
33分、関西本線と合流した久宝寺で運転停車。信号機開通待ちとのこと。15秒ほどで発車したが、全く以て「特急」らしかぬ歩みなのに少々面喰ってます。
ここを境に特急らしい走りになり、それまでの鈍足ぶりはどこへやら・・・志紀あたりでレチ(車掌)さんから乗車証明を貰いました。やっぱり観光特急なんだなと実感します。
そのままの勢いで大和川を渡り、未だ治山工事(地すべり対策)が続く亀の瀬を過ぎて奈良県入り。
45分、王寺通過。すべての快速や普通が停まる駅なのでそこを通過する気分はなかなか良いです。
車窓は、至って長閑な田園地帯が続く大和平野で特急の車内から見ていると、同じ関西に住みながらちょっとした「旅気分」に浸れます。
それにしても大阪と奈良という都市対観光地を結ぶ優等列車なのに、この乗り具合はやや心配になってきます。
新大阪に停まっているので遠く福岡や東京、あとは最近活発になってきている海外客の需要(インバウンド)を見込んでの設定と思われますが、先ほど書いたように大阪環状線経由の快速列車が便利だろうし、京都に居れば奈良線を使えばそれほど時間をかけずに奈良へ来れるので、大阪発の列車が「特急」であることの意義はやや薄いように思います。
強いて言えば、インターネットからの割引料金で予約すればさほど大きな出費をせず、このシートで行けるという「値打ち感」にあるでしょうか。
市街地に入り高架を駆け上がって、
10時58分、終点の奈良に到着。
あとの2両からも結構降りてきたので、それなりには乗ってた模様ですが今後この列車がどれだけ育つか、興味深く見守りたいと思います。
【令和6年4月28日乗車】