関東出張が決まったので、あれこれルートを見ててふと気づきました。
「しばらく夜行バスに乗ってないな...」
まあそんな感じで、この路線に乗るのを決めました。
久しぶりの大阪あべの橋バスターミナルへ。や、今は「あべのハルカス」ですか。
乗り場に着くと、ちょうど20時10分の福島行き「ギャラクシー号」が発車待ち...
程無く出発して22分くらいに、
今夜の宿となる、上田・軽井沢行き「千曲川ライナー号」が到着。近鉄バスの担当です。
「電話番さん、はい○番ですね」
近鉄伝統の「数字」による座席指定です。鉄道のように「〇番A席」とする事業者さんも見かけますが、数字指定ってのが「近鉄らしさ」を感じさせます。
車内は独立3列シート。西工02MCで先鞭を付けた「仕切りカーテン」が、近鉄車でも見れるようになって隔世の感すら覚えます。
「そしたら発車します」
関西弁のアナウンスで定刻に発車。ちなみにここからの乗車は3人。
あびこ筋を西へ進んで、右折し国道26号をなんば方面へ。
「はーい、左行けます...OKです。」
交代乗務員さんのアシストで、改めてツーマン乗務の高速バスに乗ってることを実感します。
ターミナルの中をぐるぐる回って47分、OCAT着。2人乗車。
四つ橋筋を北上。見慣れている風景の筈なんですが、夜行バスからだと見知らぬ街に見えます。
21時5分、大阪駅前着。ここからも3名乗車。
案内係と乗務員さんのあいさつが、
「ほな、行ってきます」
うーん、関西のバスですなぁ...
発車してまもなく乗務員さんによる案内の中で、
「本来でしたらここから名神高速に乗るんですけど、名神が集中工事してますんで第二京阪を通らせてもらいます」
あ、そうだった。2日ほど前に自分の運転する車で走ってて、この名神高速の集中工事の案内を見てたんだっけ。迂回ルートとは貴重です。
扇町ランプから阪神高速守口線へ...結構面白いルートです。
高速に乗ってもそれほど飛ばすでもなく、あくまでもマイペース。軽井沢はまだまだ先ですもんね。
「ほな、先に休ませてもらいますわ」
交替乗務員さんがそういって、トイレへ...あ、仮眠室か。継ぎの京都駅八条口は結構遠いですからね...
門真JCTから第二京阪へ。ちょっと加速したかな...と思いましたが、それでもまったりとした感じは変わりません。雨が少し強くなってきました。
音楽を聴きながら車窓を眺めていたら、いつの間にか京都府に入っていて、阪神高速京都線へ。
上鳥羽ランプで降りて十条通へ。仮眠室から出てきた乗務員さんが
「よう降ってますね」
「ああ、うっとおしい雨やなぁ」
ハンドル担当の乗務員さんもボヤく。
京都駅の前をゆっくり通りすぎ、
22時8分、京都駅八条口着。
うーん結構な雨です。2人乗車。乗務員さんが乗車カウントを取る。10人...うーん半分には届かないですね...
乗務員さんが交替。と思ったらここまでハンドルを担当していた乗務員さんが下車。うーん、ワンマン運行でしたか。
車内案内でも名神集中工事で迂回運行するとの事。
鴨川西ランプから再び阪神高速京都線へ。雨が一層強くなってきました...
そして久御山JCTから京滋バイパスへ。照明が空港の滑走路みたいでロマンチックです。
ここから先は本当の暗闇ばかり。スマホで映画を観て過ごし...
23時19分、多賀SAで開放休憩。これが最初で最後の休憩だとか...
菓子でも食べようかなと思ったものの、どうも食指が動かずお茶だけ買って車内へ。
隣にはジャムジャムライナーの仙台行きが滑り込んできました。
「それでは発車しまして本線合流しましたら完全消灯とさせて頂きます...」
そう案内があった後、前方のカーテンが閉じられ後は寝るしかありません。
初めて夜行バスに乗った時は一晩中でも起きる気力がありましたが、今は...多分寝てますね(笑)
結局、乗務員さんの「動き」で停まってるのを知ったのは1時過ぎの恵那峡SAと、4時半頃の梓川SAであとは首が痛くなったものの、よく「寝た」方だと思います。
外を見るとうっすらと明るく、携帯のナビ地図を見ると筑北村あたり、との事。中信から北信あたりってところでしょうか。
起きた時、濃かった霧が少し晴れた辺りで姨捨SAを通りすぎましたが、その辺りで見れた風景が確かに胸が空くぐらい見事なものでした。俗に言う「善光寺平」というヤツです。
この路線の愛称の由来となった千曲川を渡り、
更埴JCTから上信越道へ。
程無く最初の降車地・上信越道屋代に停まるも降車はなくすぐ発車。そう言えば昨日多賀SA発車前に、今回は上田駅前までは降車予約がないというのを聞いたっけ...
千曲川さかきPAに入り乗務員さんの最後の休憩。目の前に千曲川さかきのバス停が...10分程で発車。
坂城インターで高速を出て国道18号へ。
55分、千曲バス上田営業所着。ここも降車ゼロ。市内バスの乗務員さんが出発に向けて慌ただしく動かれていたのが印象的でした。
「おはようございます。順調に進みまして、あと信号2つ3つ過ぎましたら上田駅前に到着します...」
そんな案内を聞いて6時2分、上田駅前着。1人下車。池袋行き高速バスが発車待ちしていました。
「東御市役所、お降りございませんか...それでは市役所前通過しまして小諸駅前へ参ります...」
坂城の時同様に乗務員さんが確認を取られていました。
信濃国分寺駅付近で、しなの鉄道のSR1型電車と「ランデブー」
実質的にはJR東日本のE129系なんですが、その地域の色の電車を見ると遠くに来たことを実感します。
東御市役所前を過ぎて...と言いますか、坂城からこのかたずっと国道18号を走ってますね。このバス...
33分、小諸駅前着。1人下車...東信の中心的な町の玄関口ですが、さすがにこの時間は閑散としています。
50分、佐久平駅着。ここで2人下車。佐久市内の中心地ということですが、正直関西人にはあまり縁が...ただ蕎麦屋さんが多そうなのが気になります。
住宅地の中の、なかなかエグい鋭角のある佐久インター南バス停を過ぎて、上信越道かな...と思ったらそのまま県道佐久軽井沢線へ...これは意外でした。もっとも高速を通っていたのでは中軽井沢には立ち寄れないですが...
県道を走りながらジリジリと高度を稼ぎ、
国道18号に合流。行程的には最後のコースといったところです。
信濃追分付近で朝の渋滞ラッシュを迎え、最終降車地・中軽井沢駅も降車なく通過...
終点・軽井沢駅には20分ほど早く到着。車内は少し暑いくらいでしたが、それが帳消しになるくらいひんやりしていて軽井沢に来たことを実感します。
* * * *
久しぶりに近鉄の夜行バスに乗った訳ですが、近鉄バスだからこそ出来た東信方面の路線、という気がします。
共同運行先の千曲バスがもちろん協力してこそ、ですが普通の感覚で関西と東信州を結ぼうとは思うこともなかっただろうし、「変化球」の部類になる茨城や福島へ路線を持つ近鉄バスだからこそ出来たんだろうし、それでいて定着させているのが驚きです。