京成バス 東京BRT

鳴り物入りで開設された東京BRT。乗ってみていくつか言いたいことがあります。

BRTとは「バス・ラピッド・トランジット」の頭文字を取ったもので、要するに「バス」という乗り物を駆使して高速かつ大量に利用者を運べる輸送モードのひとつ、というやつです(これを頭に置いといて下さい)
さて、虎ノ門ヒルズの乗り場に着くと、

晴海BRT行きは既に入線していました。といいますか、虎ノ門ヒルズにバスターミナルがあったなんて知りませんでした。東京BRT以外には空港リムジンが立ち寄るそうですが、まさにビジネスパーソン向けのターミナル、といったところでしょうか。
車両はトヨタの「SORA」という燃料電池車で、京成バスの所属。これも意外と言えば意外でしたね・・・


車内はフルフラットで、段差はバスの乗り降りに少しあるかな・・・って程度で、座席横にはコンセントがあるなどなかなか意欲的な仕様になっています。15時45分、発車。

ターミナルを出て、外堀環状線という都道に出て南下。途中で芝ルートの「ちいバス」というコミュニティバスとすれ違いました。あちらは都営バスと伍して利用者が定着していますが、こちらは両手で十分足りる程度・・・まあ昼下がりはこんなものでしょう。
電動バスなため、すごく静かで加速の時もモーターが回ってるのかなと思うくらい静かです。
ちょくちょく信号にひっかかりつつ、15時53分、新橋BRT着。

ここで7人ほどが乗り込んできて、用務客以外にも親子連れなどその顔ぶれは始発よりもバラエティに富んでいます。
2分ほどで発車。
朝日新聞社の前を通り、すっかり更地になった築地市場跡を見ていると左折し、

新たに架けられた築地大橋に向かって進みます。

勝どきや月島の高層住宅街が目に飛び込み、下町風情の濃かった古くからの埋め立て地はすっかり近代的なロフトに・・・
まっすぐ高架を走れば晴海ですが、バスは下へ降りて

2つ目の停留所・勝どきBRTに16時5分に到着。ここで新橋から乗ってきた利用者の半分ほどが降りていきました。
都営バスでも「市01系統」という似通った路線がありますが、沿線からは微妙に外れている勝どき地区の西の外れの利用者には便利がよいのかもしれません。

向かいには虎ノ門ヒルズ行きの上り便が停車中。あちらは連接バスでした。あっちの方が面白そうだなと少し後悔。
清澄通りを東へ進むものの、信号が多くなかなかスムーズにいかず所々で詰まった感じに・・・

ちょっと速度が乗り出したのは月島の初見橋を曲がったあたりで、もう晴海のタワマンが見えてきました。

春海橋で信号待ちの間、都営バスが複数台連なって東へ西へ・・・晴海・豊洲と埋立地に一大路線網を築いており、1本だけの東京BRTはやや分が悪そうです。

16時17分、終点の晴海BRTに到着。 だだっ広い転回場に急ごしらえのバス停という感じで「仮設感」が漂います。

さて、今回初めて乗った訳ですが色々と疑問がありますが、疑問点の大半はこの点に尽きると思います。

・どこがBRTなの?

これです。
虎ノ門~新橋は専用道は難しかろうと思ってましたし、きっと勝どきから先はそんな感じだろう・・・と期待していたのですが、そんな車線はどこにもなく、都営バスと同じ道路を淡々と走っていました。
冒頭に書いたように「バス」という輸送モードを駆使するのがBRTの本分であるはずなのですが、そんな「工夫」すら見る事はなく関係者の方には申し訳ありませんが「普通のバス路線でも良かったのでは?」と言うのが正直な感想です。

そしてバス停も何か意欲的な趣向を取り入れているのかなと思ったのですが、普通に歩道にポールがあるだけで、非常に申し訳ありませんが「普通のバス停」で、何らBRTらしさを感じることはできませんでした。
それならば京成バスである必要性もなく(唯一あるとするならば、過去に連接車の運行を手掛けていた点)、都営バスの新設でも良かったのでは、と見れば見るほどBRTにこだわる必要はないように見受けました。

公式サイトを見ましたが、フェーズが2つあってひとつは東京オリンピックの輸送手段のひとつとして設定されたもので、もう一つが晴海フラッグというオリンピック開催跡地の開発で住宅地が晴海に出来るため、その輸送を新たなモードで推し進める・・・とありました。
・・・すいません。仮に晴海フラッグが順調に進んだとしても、現行のバス路線を弄って都営に任せた方が何倍もスマートな気がします。関係者の方には重ねて申し上げますが、BRTである必要はないと思います。

もっとも専用道というのは一朝一夕で出来るものではなく、造成よりも法律の打ち合わせが非常に重要になってくる性格のもので仮に専用道が今のルート上に出来るとしてもかなり先になりそうな気がします。

乗っておいてこんな事を言うのは不本意ですが、「乗っててこんなに戸惑う乗り物」は初めてでした。

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