旅する炭屋~炭屋さんだって旅したい~

炭屋です。ヲタです。人畜無害です。何処かへ行ったり過去に前に挙げた内容を再掲したりしてます。

はじめてお越しになられた方は、ここを御一読いただければ幸いです..._〆( ´・ω・‘)

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臨時快速 ムーンライトながら号 東京~大垣

■プロローグ

手元にあるきっぷは「青春18きっぷ」・・・このきっぷ、国鉄時代から続く普通列車限定の乗り放題きっぷなのだがここ数年、期の変わり目ごとに改廃の俎上に上がりつつも結局何事もなかったかのように売り出される、ちょっとした話題をいつも背負っている不思議なきっぷだ。

そして「青春18きっぷ」の改廃の話題と同時に、これもまた季節の変わり目ごとに改廃の噂が絶えない列車がこれから乗る「ムーンライトながら」・・・古くは東京と大阪を結ぶ国鉄時代の客車鈍行列車をルーツに持つ伝統ある列車なのだが、時代の流れと共に鉄道の夜行移動というものが廃れ、定期運行だったこの列車も多客期のみ運行の季節列車に格下げされた。

僕も思えばこの列車がJR東海所属の373系で運行されていた時期に何回か乗ったが、季節運行化されてからここ数年は乗ってないことに気が付いた。そして「18きっぷ」も「ムーンライトながら」もこの先ずっと販売・運行されても安泰とは思えなく、それならばこの機会にと思い指定券を取った。

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■東京~沼津

22時前に東京駅の東海道本線ホームに上がるとちょうど「サンライズエクスプレス瀬戸・出雲」が出発するところだった。「ムーンライトながら」と同じ夜行列車なのだがこちらは定期運行で、寝台券・指定券の入手が困難と言われておりどこで差がついたのか・・・そんな事を思いながら出発を見送った。

ベンチで出入りする列車を眺め23時過ぎ、東海道線の普通列車が出てしばらくして真っ白な電車が新橋方から滑り込んできた。

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今夜の「宿」となる185系で編成された「ムーンライトながら」大垣行きである。臨時「快速」という設定なので普通乗車券と(もちろん「青春18きっぷ」でも)この列車の指定券があれば乗車は可能だ。

指定券に記された号車と席番に行くと・・・ん、先客がいる。とっさに手元の指定券を再確認する。間違いない、ここの座席だ。

 

僕:あのー、ここ・・・

先:え、私もここなんですが・・・きっぷ見せてもらえます?

 

相手と僕とで指定券の席番を確認する

 

先:あー、これダブってますねー

僕:そう・・・ですよね

 

こういう時は妙なもので、何故かお互いのハラを探り合いをしながら喋っている。

 

僕:まあ車掌さんに相談しましょう・・・ところで席は・・・

先:あーいいですよ、私あっちに座ってます

 

そういって先客さんが数席離れたところへ移動していった。ダブルブッキングというのは初めてのことで、人からはよく聞くことはあっても自分はそういう目に遭うと案外どうしていいものか判らないものだなとちょっと情けなくなった。

複雑な気持ちで座るとほどなく発車。185系の主電動機の唸りがそのまま車内に入ってきてとても特急型に乗ってるという気はせず、往年の165系あたりの電車に乗っているかのような錯覚に陥る。

品川に着くと今乗ってるハコ(車両)にもドヤドヤと足音が響く。ぐるっと見回すと80%ほどの入りか。

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大森あたりで車掌さんがやってきて先客さんと一緒に

 

僕・先客:ええと、ダブってるようなんですけど・・・

車掌:ええ?ちょっと見せて貰えますか?

 

車掌さん指でなぞりながら券面をチェック。特におかしいところはないようで腑に落ちない表情だったが、

 

車掌:わかり・・・ました。そしたら〇番の〇席にどちらか行ってもらえますか?

 

僕はサッとカバンを持って移動しようとしましたが

 

先:わかりましたー、私近いところに座ってたんでそっち行きますー

僕:えっ、いいのですか?

先:構いませんよー

 

あっさりとダブルブッキングは解消した。あとは荷物のやりとりをして先客さんも落ち着いて何事もなかったかのように・・・いやなんか、もっとこう拗れるものなのかなーとか思ってた自分、いったいナニを期待してたんだか・・・

 

横浜に着き数人が乗車。隣は今のところだれもいない。そろそろ大船だなーと思ったらあっさり通過・・・アレ?長距離系は大船停車じゃないの?と訝しがりつつ携帯で時刻表サイトを開けて確認したら・・・小田原まで通過だった。そういえば最近の「ムーンライトながら」についてはまったくサーベイしてなかったなぁ。

 

「もうお休みのお客様もおられますので、車内放送は緊急時を除いて明朝の名古屋到着まで控えさせていただきます・・・」

 

車掌さんのこの案内で一気に夜行列車の旅気分が盛り上がる。ただ列車の足取りは快調かと言えばそうでもなく、時折信号停車一歩手前まで減速して加速したかと思ったらまた減速・・・そんな感じの走りが国府津付近まで続いた。考えてみれば今乗ってる列車は「臨時列車」。立場としては定期列車の隙間で走っていることになり、定期列車の影響をモロに食らう立場なのだ。平塚、国府津では当駅止まりの列車がホームに見えたので、ずっとこれらの列車の後追いをしてたんだなーと納得。

小田原でドカッと乗るか・・・と思ったらここも数人だけが乗車しただけで発車。隣は・・・まだ誰もこない。時刻表では次の停車駅は沼津だけど時間が時間(1時過ぎ)だから乗ってくる可能性は低い。となると隣は空席って確率が高い。ちょっとだけ気がラクになった。

根府川~真鶴間のワイディングな区間をレールを軋ませながらゆっくり走り熱海着。乗降扱いのない運転停車だ。運転士、車掌がJR東日本からJR東海の乗務員に交替した。丹那トンネルの中で反響する主電動機の音を十二分に堪能し、ほどなく沼津着。他のハコからだけど2人ほど降りた・・・

 

■沼津~豊橋

それにしても・・・暑い!僕はピザ(肥えているの隠語)であるため人の多くいる場所での暑さは人以上に感じやすいタチなのでそれなりに覚悟していたが、それを差し引いても蒸し暑い。トイレに行きがてらデッキ付近に立つとダクトからの風になんとなく湿気を感じた。思い返せば今乗ってる185系は車齢は30年以上たつロートルな電車である。特急型と言えど設備的にガタが来ているのも事実だろう。

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かつての夜行列車では冷暖房はおろか、空調といえば扇風機とベンチレーターがあれば御の字といわれてた時期があったそうだ。そうした時代を生きてきた人からすれば僕の言など弱音にしか聞こえないだろう。しかし普通電車でもキンキンに冷えた空調冷房完備が当たり前な時代にあっては。申し訳ないが185系は「ボロい」と言わせて頂く。

暑さにうだされてたせいで、富士通過や蒲原付近の駿河湾の夜景をばっちり眺められた・・・

2時過ぎに静岡到着。このあたりになるとさすがに意識が朦朧としかけたが、そんな中でもここから数人が乗車してきた。「大垣夜行」時代はここでの長時間停車で買い物や背伸びができたそうだが、臨時列車となった今は数分で発車。用宗の駅名板を確認したところまでは覚えていたが気が付いたら停まっていた。30~40分は寝たことになるのかな・・・

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浜松での停車時間は20~30分ほどあった。静岡での長時間停車がこちらに移ったようだ。ホームに出て涼んでいると鉄道ファンが「ムーンライトながら」のサボやらヘッドマークをしきりに撮影し、電車の色々な部位を撮っていたりと忙しそうだ。僕ももちろん便乗し数枚をカメラに収めた。

そしてホーム下の改札を抜け徒歩3分ほどのところにあるコンビニへ。ぶっかけそばとおむすびを買い込んでホームへ戻る。ファンの間では長時間停車の事を「バカ停」と呼ぶのだがそのバカ停のおかげで夜食にありつけた。以前なら駅弁販売があったのかもしれないが現代の世にそれを求めるのは酷な話。ここはコンビニ飯でその雰囲気を味わうことにする。

貨物列車の通過を撮ったり、相変わらず動きの激しい鉄道ファンの様子を眺めてたら発車・・・やっぱり蒸し暑い。周りは寝静まって?いるのだが、意を決して窓を数センチほど開けてみた。特急型で窓が開くのは185系のみで急行への運用を想定していたための仕様だとか。カタンカタン、カタンカタン・・・音がモロに入ってきて少し喧しいが少し涼しい風が入ってくる。これは蒸し暑さにうだされてた身には非常にありがたい。誰も起きる気配はないな・・・よし、もう少し開けよう。もう一段窓を上げてみる。風が体に当たって心地よい。自然風は冷房の風のような冷たさはないが、走行中の列車から入ることから体感温度を下げてくれる。線路際の建物に時折ジョイント音が反射してドキッとするくらい響いたのだが、今のところクレームはない。

ようやく暑さから解放され夜食を涼しい風にあたりながら平らげ、まだ真っ暗な闇を眺めながら腕を少し出して往年の夜行列車の旅を気取ってみた。

減速し停車したのは豊橋。ここも熱海同様に運転停車で乗務員のみの交替が行われた。ホームを歩く運転士さんの後ろ姿はどことなく疲労の色を見せていた。

 

■豊橋~大垣

いつの間にか寝入ってしまい気づいたら停まっていた。

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ホームの駅名板を見たら「共和」・・・もう名古屋の都市圏に入っていた。本線とは違うホームだから貨物列車の待避かなと思ってじっと通過を待っていたが特に何も通過せず20分ほどで動き出した。ちょっと肩透かしを食らった気分だ。笠寺手前でうっすらと空が白み、

 

「おはようございます。おはようございます。ただいまの時刻は午前5時、午前5時になりました。まもなく名古屋です・・・」

 

いわゆる「おはよう放送」が熱田通過あたりで流れた。それを機に車内の動きもちょっとあって洗面所へ行く団体、トイレへ駆け込む人、荷物整理をし始める人・・・今まで動きの無かった空間に突如湧いたように発生するこの喧騒感も夜行列車の旅の醍醐味だなーと窓の風を受けながらぼんやりと見ていた。

 

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5時過ぎに名古屋着。ハコの1/3ほどが下車した。さすがに乗車はなかった。ホームの通勤・通学客の目線がまるで異人を見るかのような厳しさを感じた。「なんでオレタチが乗れない列車がこんなところにいるんだ!」というグチが聞こえる風な雰囲気だった。

 

名古屋を出ると周りはすっかり明るく、名古屋始発の特急が停まる尾張一宮ですらこの列車は通過。木曽川を渡る風が心地よかった・・・

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県都・岐阜での降車はパラパラで、車内は60%ほどの入りのまま終点の大垣に到着。

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そして僕が乗ってきたハコの乗客(だけでなく他の客の大半もそうだが)は恒例の「大垣ダッシュ」で跨線橋を渡り、隣に停まっていた米原行き普通列車へ我先にと争わんばかりに駆け出し乗り込んで行った・・・この列車の使命は単に東京と東海地方の都市を結ぶだけでなく、その先を乗り継ぐ「青春18きっぷ」利用者へ便宜を図る東海道のフィーダー輸送という側面を持っている。

僕も関西へ戻るためにこの列車に乗ったのだが、「大垣ダッシュ」に参加する気力はなく喧噪をよそに「ムーンライトながら」の余韻に浸る事にした。

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■エピローグ

さて、この「ムーンライトながら」であるが、乗車してから数日後に185系を使用するのはこれで最後、と思わせるようなネットの情報を見かけちょっと心が騒いだ。確かにこの乗車でも空調の悪さは目立ったし、車両全体のガタは否めないからいずれは引退するだろうな・・・とは思っていたが、これほどまでに早々と結論めいたものが出るという事に驚きを隠せなかった。

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もっとも東阪間での夜行移動で鉄道を積極的に使おうにも、こういう座席だと敬遠する人は多いだろう。このシートよりも豪華な独立シートを装備した夜行バスも多く走っているし、それこそツアーバスであれば青春18きっぷ1回分の値段くらいで、通常期に上のシートのような便が売り出されてるのが現状だ。航空便だって以前のようにベラボウな運賃だけでなく割引も充実しているから新幹線並みの金額で行けるようになっている。この列車が何の手を打たずして生き残ろうというのは、もはや無理な段階にきているのは明白である。

プロローグに書いたように「青春18きっぷ」と「ムーンライトながら」は連関性があって18きっぷが売り出されるからこの列車が設定される、といっても過言ではない。平成29年度の「青春18きっぷ」はまだ冬期間の発売計画を残しているので今しばらくは安泰だろうけど、「ムーンライトながら」の方はそうも言ってられないだろう。平成29年夏の運行期間は終了したが、もし噂通りに185系がこの列車に充当されなくなったとしたなら、後継車が決まらない限りそれは「ムーンライトながら」の廃止を意味することに繋がる。もっとも冬季の18きっぷに合わせJRが車両をどこからか捻り出して冬季の「ムーンライトながら」は運行されるかもしれないが、その先はJR各社の「胸三寸」にかかってくる。

関係者でもない僕が今からどうのこうのと言うのは僭越かもしれないが、時代の流れにこの列車が飲み込まれる(廃止される)のか、それとも何らかの形(後継車決定・ダイヤ改正)でJRが今一度利用者に問いただすのか(存続)、大いに注目されるところである。

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(2017年8月13日乗車)

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