西日本JRバス 超得割青春320号

【路線データ】

  • 事業者:西日本JRバス
  • 路線名:超特割青春302号
  • 車両型:三菱ふそうエアロクィーン
  • 路線型:高速路線バス(都市間連絡型)
  • 乗車日:平成22年8月19日
  • 乗車区間:大阪駅桜橋口~東京駅日本橋口

【乗車記】

22時半過ぎの大阪駅桜橋口は夜行バスのラッシュで、その行き先やカラーリングを見ているだけでも飽きません。真っ白な「プレミアムドリーム号」、JRバス関東の「青春エコドリーム号」、松山行き「松山エクスプレス大阪号」のJR四国バス、「浜田道エクスプレス号」の夜行便・・・発車時間が近接しているので客を誘導する係員の叫び声とバスのエンジン音が交錯することしきり・・・

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22時50分過ぎ、1台のバスが横付けされました。西日本JRバスの観光カラー車。エアロクィーンのSHD(スーパーハイデッカー車)。これが東京行き「超得割青春320号」です。
アサインされた席は「1C」・・・2列のシートが左右に並ぶ4列タイプの座席で、観光バスでよく見かける座席配置です。シートピッチは狭いが極端な狭さではありません。最前列の宿命でフットレストの位置は少しだけ窪みがあるだけで、これだけ見ると狭いかな・・・隣の1D席にはすでに先客がいました。座って落ち着いたところでさらりと後ろを見るとぎっしりと客が座っており、掛け値なしで「満席」なのを実感しました。
4300円という値段は在来線の運賃の半額であるわけだし、独立3列の「ドリーム号」の半額でもあるため、ネットの情報に目ざとい若者に人気が出て当然でしょう。事実、僕の周りはほとんどハタチ台の若者ばかりで、それも2人組から4人組の気の置けない仲間同士といった感じの年齢層でした。
23時を若干過ぎたあたりで客室と運転席を仕切るカーテンが閉められ、おもむろに動き出しました。中央環状線に乗り、吹田インターから名神高速へ。
「高速道路に入りますと、車内灯を消灯します」
という案内があってすぐに消灯。これを汐に静かになるかと思いきや、僕の周りの若者はそんな事はおかまいなしで、おしゃべりに夢中でした。これを注意するというのも野暮というもので、特に大声ではしゃいでいるという訳でもないので諦観するばかりです。それにこの値段と客層、年齢層を考えるとビジネスで使っている僕の方が浮いているわけだから注意もしにくいところです。あくまでこのバスの愛称が示すように「青春」を謳歌している彼らがこの中では主役なのだから。

それでも草津付近(Xperiaのナビで確認)まで来ると次第に静かになってきた訳で、さながら修学旅行の団体バスに乗り合わせたような雰囲気でした。

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0時20分過ぎ、土山SAで最初の休憩停車。車内のほとんどの客が一斉に降りたので、バスの周りは蟻の子を散らしたように広がっていました。ツアーバス、「ドリーム号」、民鉄系の夜行バスが並ぶサマはなかなか壮観で、それぞれのバスから降りてくる客がトイレ、売店に集中するのでさながらラッシュのようでした。お茶を買って車内へ戻り、運転士さんのカウントチェックがあって0時40分頃発車。安い便であってもこういった体制は当たり前のようにあるのは安心します。

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ちょっとウツツとしたかな・・・と思った頃、
「はい、刈谷PA到着です。ここで15分ほど休憩します」

時計を見ると1時半過ぎ。まぶたは重いが眠いという感覚はあまりないのが不思議です。昼間は大賑わいの売店も深夜とあっては閉店しておりひっそりとしたものでした。
発車して今度は眠れた。かと思ったらドアの開く音が。高速を離れ三ケ日駐車場に入ったようです。乗務員さんの「お願いします」という声で交替が行われたようでした。ここまでは西日本JRバスの運転士が、そしてここから終点まではJRバス関東の運転士がハンドルを握ります。

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「日本坂PA到着です」
反射的に席を立ちましたが寝ぼけていてなんとなく足は千鳥足・・・外はムッとした蒸し暑さが相変わらず続いていました。時刻は3時40分。

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少し離れたところには、JRバス関東便の「ドリーム320号」つくば行きが休憩していました。その他にも「青春ドリーム号」等数台のダブルデッカー車がたむろして・・・
車内に戻るとすぐに眠りに落ち、

「鮎沢PAです」

の声を聞くまでの記憶が一切ありませんでした。

 

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当初は足柄SAでの休憩を設定していたようでしたが、前夜に

「駐車状況により他の場所で休憩する事があります」

という案内があったので、まさにここへ「避難」したのでしょう。同じ理由で多くの夜行バスがこの鮎沢PAに「避難」していました。夜も明け、霧がかかる山間は涼しく、ひんやりとした外気が心地よかったです。
5時15分過ぎに発車。客の大半はまだまだ眠りこけており、前夜の元気な彼らとはまるで別人みたいでした。

ウツラウツラしていたら

「ご乗車ありがとうございました。まもなく東名江田に到着します」

案内放送が流れるが降車は無く、続いて東名向ヶ丘も降車ゼロ。多摩川を渡って都内に入る頃やや混雑しはじめましたが、首都高速は総じて順調。霞ヶ関の通過あたりで俄かに車内がにぎやかに・・・

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終点・東京駅日本橋口には6時50分着。

「途中交通事情が順調なため約25分ほど早く到着しました」

という運転士さんの明るかったのが印象的でした。時期によっては定刻の7時15分から大幅に遅れるのでしょう。トランクから荷物が次々に出されるとすばやくピックアップ・・・到着して10分と経たない間にバスの周りは静かになりました。

(令和元年5月23日記事構成変更)

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