函館では20分ほどの接続時間が取れたが、とあるものを確保すべく走りまわってホームに戻ったら発車5分前だった。
これも広い意味で「東京行き最終列車」である。
「北斗号」までは周遊きっぷの範囲内だったので自由席で回れたけど本州連絡の、しかもある意味「終列車」となるとゆったりとした気分で帰りたいと思い、事前に指定券を確保。
実際乗ってみたら指定席の入りは5割程度だった。もっとも自由席は後で覗くと通路に数人立ち客がいるほどの盛況だったので、指定券を取っておいて正解だったかな・・・
五稜郭を出て江差線に入るとよく車体が揺れる。
函館で仕入れた「ブツ」はひとまずお預けとし、今は駅で買った「かにチップス」でお茶を濁す。
僅かにカニの香りはするので看板に偽りはないのだが・・・過大な期待を持って買うとちょっと落胆するかも。まあこういうものは「雰囲気」を楽しむものなんだな、と一人納得。
木古内着。ここから海峡線である。ここまですれ違いは気動車列車1~2本と貨物列車1本と少なかった。定刻通り走っていればそんなものかも知れない。
海峡線に入ると速度は上がるが揺れはほとんどない。先ほどまで江差線でガタピシ揺れていたのがウソのようである。このギャップが楽しめるのも海峡線の列車ならではだろう。
知内を通過・・・いよいよ北海道とバイバイだ。
スッと外が暗くなり青函トンネルに入った。
このトンネルがあと数年で新幹線専用になるというから驚きである。
車内の自動放送でも北海道新幹線の工事を伝えていたが、開通後は果たして
今のように鉄道で気軽に北海道へ行く事はできるのか・・・つい妙なことを心配してしまう。
運賃・料金を払えばどうって事はない事なのだろうけど、
今のように蟹田~木古内間の特例(この区間のみ特急自由席なら乗車券のみで乗車可能)を新幹線でもやってくれるのだろうか。
青函連絡船より続いてきた運賃だけでの青函間の移動を事実上不可能にしてしまうような事にはならない事を祈るばかりである。
* * * *
音がスッと高くなったなと思ったらトンネルを抜けた。そしてボタボタッと窓に雪があたる。北海道の雪はパラパラとしていたが、北東北のそれは湿気の多そうな雪だった。
新中小国信号所で海峡線の旅は終わり、津軽線へ・・・そしてまたガタピシ揺れ始めた。
蟹田はそんなボタ雪の中を到着。
津軽線内は旅客列車のすれ違いはほとんど無く貨物列車ばかりが目立った。
思えば今すれ違った貨物列車が函館にたどり着くのは20時~21時頃。それから札幌やら旭川に向かったら荷物そのものは明朝には相手先に届くのだろう。こんなガタピシ揺れるばかりのローカル線が北海道の物流の一角を担ってるいるのとか思うと感慨深い。
青森には定刻の19時前に到着したのだが、
「野辺地からの列車の到着待ちと奥羽線の列車がこちらに向かっており線路が開通していません。しばらくお待ちを・・・」
うーん、数分くらいなら余裕を持たせたつもりだけど大幅に遅れるとなると本当に「乗り遅れて」しまう。この列車がこのあとの東北新幹線の接続列車ならば「接続待ち」をしてくれるだろうけど、それも程度の問題だろうしなぁ・・・うーん、悩ましい。
やがて向かいのホームに大阪行き「日本海号」が入線。あれに乗れば明日の10時過ぎに関西に戻れるなぁ・・・と思ったら
「列車到着しました。まもなく発車します」
そんなに上手くいかないよね。うん。
そんな淡い期待を破るようなアナウンスが流れ青森を10分ほど遅れて発車。
終点の新青森には19時20分過ぎに到着。
車内に残る北海道の余韻に浸る間もなくコンコースに向けてダッシュした・・・
(2012年1月6日乗車)