ユタカ交通 ユタカライナー関西長崎1号車

【路線データ】

  • 事業者:ユタカ交通
  • 路線名:ユタカライナー関西長崎1号車
  • 車両型:三菱ふそうエアロエース
  • 路線型:ツアーバス
  • 乗車日:平成29年11月27日
  • 乗車区間:博多駅合同庁舎前~京都駅八条口観光バス乗降口

【乗車記】

博多発のツアーバスの「集合場所」としてはお馴染みのカフェの「BUS STOP」である。このバスに乗った時もここに集合したが、今から乗る「ユタカライナー」もここが集合場所に指定されている。ツアーバスのバス停というと時として辺鄙なところにある事が多いので、こうして風雨をしのげる場所があるというのはありがたい。22時35分、

「23時発の神戸、大阪、京都行きを予約されているお客様は整理券を配りまーす」

と唐突に店の出入口にいた係員から案内があった。行ってみると

「お名前を頂けますか?」

と聞かれ答えると名簿をなぞり確認していた。そして整理券を貰う。なるほどこれを以て改札としているようだ。コンビニで決済した時に乗車券が出てこずに「払い込み証明書」だけが出てきた理由がやっとわかったような気がした。

徒歩1分とかからない場所にバス停はあったがそこは西鉄バスの「合同庁舎前」バス停・・・と、その隣に「博多駅筑紫口」と書かれたもう一つのバス停があった。これがツアーバス専用のバス停という事か。

見慣れたユタカ交通のカラーの観光バスが客扱いをしており「すわ乗車開始か」と思ったが、どうやら10分前に出る別の便だったようだ。客扱いを済ませ少し前に動いたのでふと振り返ると、

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今夜の宿である「ユタカライナー」関西長崎1号車が滑り込んできた。便名が示しているようにこの路線は佐世保が始発である。ゆえに乗り込むとすでに両手に少し足らない程度の客が乗っていた。

公式サイトで3列シートで運行とあったのでどこかのお古なのかなと思ったら、結構小ぎれいなシートが並んでいた。エアロエースの路線純正仕様のようであり中古のくたびれたシートを予想していただけにちょっとびっくりした。また車内には

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仕切りカーテンが装備されており、ツアーバスと言えどかつて運行されていた「ムーンライト号」を彷彿とさせるような設えに侮れないものを感じた。そして昨今の夜行バスでは標準装備になりつつあるUSBコンセントもついており、出入口のサービスボックスの上には使い捨てのアイマスクも置いてあった。

ツアーバスといいつつも中身は相当「路線」を意識したものになっており、ここまでやるのだったら路線免許でやればよいのに、と思わないではなかったが・・・

 ここで窓際・B席共に数席残して発車。ビル街を抜け堅粕ランプから都市高速に乗った。発車直後の案内は自動音声によるものだったがそれが終わると乗務員さんから

「改めてご案内します。トイレは中央寄りにございます・・・」

とあってまずまずの丁寧さ。そして

「途中何ヶ所かでお客様の休憩場所をお取りします。発車時間をお知らせしますので必ず時間までにお戻りください。戻られない場合は途中下車したものと判断し発車致します

となかなか厳しめの案内。いや、厳しいというよりはこれは利用する側のモラルの問題であって乗客が守るべきルールである。ツアーバスはもとより「路線」でももっと徹底したほうが良い案内だと思う。と、色々感心していたら

「車内での飲酒は御遠慮下さい」

のひとことにドキっとした。実は博多駅近くのコンビニで酎ハイを仕入れており、動き出してから夜景をサカナに飲もうと思っていたのだ。あーあ、自宅まで持って帰るハメになったか・・・

23時10分、福岡インターから九州道へ。ツアーバスだからといって特段変わったルートを走る訳でもなくこのあたりは「路線」となんら変わりはない。そして5分後に消灯。

「路線」はいつのまにか巡航速度に達していた、という感じなのに対しツアーバスはメリハリのある加速と巡航を繰り返しており、「路線」に乗り慣れたカラダにはなかなか面白いフィーリングを体感できる。

日付が変わる直前に関門橋を渡り本州入り。うとうとしていたら減速する気配。特に案内はなく山陽道の佐波川SAで今夜最後の休憩になった。

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色々とカットを撮っていたら、同じユタカライナーのカラーリングをしたエアロエースが2台やってきた。この便の続行なのかそれとも別の場所から来たのかは不明。

出入口には、上り便と下り便の時刻が一緒に掲載されたものがあり、その下には

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発車時刻を表示したものが置かれていた。最初は西武の夜行路線あたりで見かけたこのシステムだが、その後JRバスでも見られるようになり今やツアーバスでも出回るようになったようで、必要不可欠な存在になっているのだろう。

自席に戻り仕切りカーテンを引いて「寝る体制」に入る。まあこのあたりはセルフでも構わないと思う。「路線」であれば乗務員さんが引きに回ってくるところだが、運賃の事を考えれば客ができることはやったほうが、乗務員にも乗客にも心に負担を感じなくてよいだろう。客が「出発時間を厳守」したようで1時過ぎに発車。

 

強烈に眠かったが停まった気配を感じたので、寝ぼけまなこで携帯の地図を見ると福山SAに停まっていた。時刻は失念した・・・

そしてまだその眠さの残っている中、再び停まった気配を感じたので今度は何処だ?と思うとドアが開き通路の予備灯が点いた。どうやら朝の休憩のようである。

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見慣れた看板だなと思ったら第二神明の明石SAだった。そういえば昨夜の案内でも

「山陽道工事による通行止めのため迂回します」

とあった。中国道へ迂回するのかなと思ったが、まさかの第二神明経由とは驚いた。

ここで数人が降りて売店の方へ向かった。昨夜の佐波川みたいにまたユタカライナー同士が並ぶのかな・・・と思ったがそれは無く5時35分、発車。

京橋ランプで降りて見慣れたビル街を抜け元町駅に出ると右折し最初の降車地・神戸三宮高架商店街前に着いた。

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時刻は6時過ぎ。とてつもなく変な時間でもなく夜行バスとしてはまずまず良い時間設定だろう。ただ今の時期(11月下旬)はまだまだ暗く、心理的に動くのが億劫な感じなのは否めないか。3人ほどが下車した。客扱いが終わると再び消灯。フラワーロードを南下し京橋ランプへ・・・と思ったら阪神高速をくぐり左折。

摩耶、六甲山の山の端がはっきり見え空が茜色に染まりだした頃、阪神高速湾岸線へ。ここでもキビキビした走りを見せ、気が付いたら尼崎の湾岸地帯まで来ていた。この朝の風景だけは夜行と名の付くものに乗ってきた者だけが見れる「ご褒美」だ。

その淀川を渡ると淀川左岸線という新しい阪神高速に入った。ここは初めて通るのでどんな感じかと思ったがひたすらトンネルばかりで少し残念。大開ランプで高速を出て北港通へ。もうすっかり明るくなっていた。

大淀界隈をぐるっと迂回するように回って中津へ。阪急電車と並走しほどなく大阪梅田の降車地・プラザモータープールに到着。

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バックで所定の位置にクルマを収めて客扱い。ここで数人が降りた。もっとツアーバスがいるかと思ったがご覧のように3台だけで意外と閑散としていた。

7時前、ドアが閉まり再び消灯。もうこんなに外は明るいし寝る時間でもないだろうに・・・と思ったが周りではまだ数人が毛布にくるまっていたので、それなりに「需要」はあるということなのだろう。

阪神高速には入らず御堂筋をひたすら南下し中央大通で左折。どこへ行くのかと思ったら阿波座であみだ池筋に入り千日前通へ。

「お疲れ様でした。難波到着です」

の案内と共になんばHatchの駐車場へ滑りこんだ。ここってFM大阪のラジオ局では・・・と思ったが、どうやらラジオ局以外に音楽関係のイベントができる多目的ホールのような施設も併設しているようだ。

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何処始発かは判らないが、同じ「ユタカライナー」が少し遅れて滑り込んできた。客扱いが終わり再び消灯。運行中の消灯はもはや「仕様」という事か・・・

湊町ランプから高速に入ったので、あとは豊中南まで登って名神だろうな・・・と思っていたら出入橋ランプ手前のJCTで右側へ。環状線経由で守口線に入ると今度は守口で近畿道へ。この守口線~近畿道の連絡路も最近できたもので、意外なルートで東へ向かうものだなと驚いた。第二京阪に入り、もう終点は目前だなと思ったら

「最後の休憩を取ります」

と案内があって滑り込んだのが京田辺PAだった。

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昨夜の案内では深夜と早朝に1回ずつの休憩を取ると聞いていたが、乗務員さんの弁だと

「スムーズに来れたので時間調整を兼ねての休憩です」

との事。「路線」でも早着はままあることだし、ツアーバスならば未明に終点に着くなんてこともよく聞く話だが、到着時刻を意識するツアーバスというのは初めて見たような気がする。結局7時55分から8時22分までと30分近く停まって、これまでの休憩地の中で最長の停車時間となった。

本線に戻ると茫洋とした京都平野が出迎えてくれた。もう夜行バスに乗っているというよりは、車内が暗めの昼行バスに乗ってる趣がある。巨椋池から阪神高速京都線に入り、鴨川西ランプで降りた。いつも見るコテコテの京都市内の渋滞よりはやや大人しめの混雑の中を京都駅方向へ。

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終点の京都駅八条口の観光バス駐車場には8時46分に着いた。阪神高速と市内の渋滞に巻き込まれたものの、出入口の看板に書かれていた到着時刻よりも数分早めだった。

(令和元年5月15日記事構成変更)

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