往復分のレポをまとめてあります
【路線データ】
- 事業者:西鉄バス久留米
- 路線名:無番
- 車両型:三菱ふそうローザ
- 路線型:一般路線バス(域内連絡型)
- 乗車日:平成29年1月8日
- 乗車区間:杷木~コミュニティセンター(柚木)~浮羽発着場
【乗車記】
■杷木~柚木
早朝に福岡を出て、日田行き高速バスに乗車。三郡山地と耳納山地に囲まれたあたりにある杷木という町で下車しました。
9時前に駐車場から1台のマイクロバスが建屋に横付けされドアが開きました。
浮羽経由のコミュニティセンター行きで、西鉄バスにマイクロバスの路線があるというのは聞いていましたが、こうして一般路線車と並んでみるとやはり「小さい」です。
僕の他に1人が乗ってきて発車。ガラガラガラーッと運転席後ろあたりからのエンジン音がガランとした車内に響かせ、一本道を快調に飛ばし国道210号に出て浮羽発着場へ到着。ここでも1人が乗ってきて元来た道を引き返しますが。すぐに山の方へ入り道も細くなってきました。
乗務員さんの横で衝立の如くそびえ立っている運賃箱が珍しくて、しげしげ眺めていたところから乗務員さんと色々話がはずみ
「昔はもっと大きな車がこの路線を担当していた」
・・・え?マイクロでも辛そうな道の細さなのに?
「まあそれだけ昔はお客さんもいたからねぇ」
ちょっと寂しい感じに。
乗っていたお客さんは途中で皆降りていき、金井原を過ぎたら乗務員さんと僕だけになりました。ガタピシ揺れるし道は極端に細くなったり、ヘアピンもどきのコーナーも出てきてまさに狭隘路線の要素が詰まっていました。
「この路線はたまに東京とかからもバスマニアさんが乗りに来られますね」
はい、僕もそのクチです。
「狭隘路線に乗るってのが僕らの間で流行ってるんですよ」
と話を振ってみると
「久留米管内も昔は結構離合のキツい路線が多かったんですけどね、改良されたり路線の廃止で軒並み減りました」
との事。そんな感じで色々と話しこんでいたら。
「どこか停めてほしいところあります?」
へっ?いや、そんないいですよと断ったが、
「時間はあるからどこでも停めますよ」
と・・・そのご厚意に甘えそれではと、県境付近でお願いしました。
まさに県境です。ちょうどバスの停まっているあたりが県境で手前が福岡県朝倉市、これから先が大分県日田市(旧前津江町)といったところでしょうか。
雨もパツパツ当たって寒かったけど、せっかくのチャンスなのでこういう感じの絵を何枚か・・・乗務員さんにただただ感謝するばかりでした。
「もういいのですか」
ええ、停めて頂いただけでもありがたいのに、僕の趣味活動でダイヤを乱してしまっては申し訳ない・・・と思ったら
「ほとんどお客さんがいなかったから早めに来てますからね・・・」
との事。なるほど。
終点のコミュニティセンターではバスを転回させるスペースがあるのですが、生憎センターで集会があるようで車が止められていました。
「あら、んじゃ仕方ないね」
乗務員さんはさっさと見切りをつけて山の中へ。どこまでいくのか・・・と訝しんでたら、
「ここでバックして待機しますよ」
で、着いたのがまさに「どんづまり」という言葉に相応しいところでバスは停まりました。
地図をみればそう遠くないところで道も「どんづまり」になるようで・・・
■柚木~浮羽
色んな角度でバスを撮ったり、乗務員さんと話しこんでたら出発時間がきました。
「じゃ行きますね」
乗用車でも動かすような気軽さで浮羽行き発車。
起点のコミュニティセンターは乗車ゼロ。時折軽トラと離合するもマイクロの身軽さで難なくこなしていきます。中型だとこうはいかないでしょうねぇ・・・
数軒ある集落を縫うように走るものの、乗車はなく行程の真ん中あたりでおばあさんが乗車。
「おばあさん、今日はどこ行くの」
「病院行くんだわ」
「ああ、それはいいわ」
乗務員さんとの掛け合いも自然なもので、「ヨソ者」の僕には入り込めない「間」がそこにはありました。
雨はやや弱くなり幾分か走りやすそうになりましたが客はおらず、結局僕とおばあさんだけがマイクロバスの中で揺られていました。
「病院は昼までなんじゃ」
「娘は用事があるといって迎えにこれん」
おばあさんの一人ごちてるのを乗務員さんが聞きつけ、
「おばあさん、今日は日曜だから昼の便はないよ。帰りはタクシーかね」
「そうか。そうするわ」
おばあさん、病院に行ったはいいが危うく帰れなくなるところでした(汗)乗務員さんのフォローが本務以外にも行き届いていて、こういうのもローカルバスならではの風景だなぁと感心。
原まで戻ってきてようやく人里に戻ってきた感がしてきました。雨もようやく上がった10時過ぎに浮羽発着場に到着。えっちらほ、と降りるおばあさんに続いて降りると乗務員さんに一礼し最後のカットをカメラに収めました。バスはそのまま杷木へ戻っていきました・・・
(令和元年5月16日記事構成変更)