鹿児島交通観光 九州新幹線リレー号【考察付】

【路線データ】

  • 事業者:鹿児島交通観光
  • 路線名:九州新幹線リレー号
  • 車両型:現代自動車ユニバース
  • 路線型:高速路線バス(フィーダー型)
  • 乗車日:平成24年9月26日
  • 乗車区間:都城デパート前~新八代駅

【乗車記】
宮崎市内のホテルでtwitterのタイムライン(つぶやきを時系列に並べている様子)をざっと流していたら、
「9月末で都城~新八代の新幹線リレーバスが運休」
という書き込みを発見。
この路線が出来た時は「B&Sみやざきの都城バージョンか」くらいの認識しかなかったのですが、運行形態も使用車両も結構謎だらけな事に気づき「いい機会かな」と思って翌日の行程を少し繰り上げ「お別れ乗車」を決定。

 16時半過ぎにデパート前のバス停に着くも、目の前の大和デパートはシャッターが下りていて殺伐とした雰囲気でちょっと異様だなと思ったら・・・なんと「閉店」の貼り紙がシャッターにたなびいてました。

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17時過ぎになって白っぽいバスが目の前に到着。
「新八代行きでーす」
「九州新幹線リレー号」(以下リレー号)、鹿児島交通観光担当のヒュンダイユニバースのハイデッカー車で、サイドには都城市内の停留所と新八代駅の文字がデザイン良く描かれていて、さながら空港連絡バスのような趣でした。
デパート前から乗りこんだのは僕1人だけ・・・この路線の始発は数キロ先の蓑原という所なのですが、そこからここまでの間に乗ってきたであろう先客は1人。

関西圏ならば「都城駅前」と名付けるであろう次の停留所・北原町の乗車はゼロ。停留所名が別なのは宮崎交通の路線が名付ける駅前停留所との混同を避けるためなのかどうかは判りませんが、それゆえ県外利用者に対して「駅前じゃないんだ」的な心理が働いていたのではないかと思うと惜しい事です。

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市道を巧みに使って右左折を繰り返し、気付いた時には国道10号に戻ってました。
その間にもイオン都城前やら国道沿いのバス停に停まるものの乗車はやはりゼロ。

都城インターから宮崎道に入ってさあ加速・・・と思ったらすぐに減速しバス停へ。「フェニックス号」や「はまゆう号」で御馴染の都城北バス停で最後の客扱いを行うもののやっぱり乗車はゼロ。
ここからの乗車はさすがにあるだろうと思っていただけに愕然としました。
ドアを閉めるものの、すぐに発車はせず乗務員さんが車内を一通り巡回。もう一人の客に
「ここは冷房が利きすぎるので、寒かったら後ろの方に行ってもいいですよ」
という感じの事を伝えていました。
サービス精神があって好感はあるのですが、簡単に席移動を伝えられるくらいガラガラという現実に、伝える乗務員さんの心中を察すると気の毒という言葉以外思い当たるものがありません。
都城北を出ると一気に加速。宮崎交通の運行する高速バスだったら必ず立ち寄る小林インターやえびのインターのバス停も全部すっとばして行くので気持ちいいです。

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【考察】
この路線に乗っての印象(というか問題点)は


①新幹線開業時はそれなりの利用があったかもしれないが、対都城だけでパイが小さいのでは?
②並行するB&Sみやざきとコンセプトが重複している印象が強い(B&Sみやざき号は未乗なのではっきりとは書けませんが)


の2つに尽きると思います。
開通ブームの間は窓側だけでも埋まっていたかもしれませんが、対都城だけを考えた場合競合する「B&Sみやざき」の存在があって、都城でも知名度は失礼ながら低いと言わざるを得ない三州自動車(鹿児島交通観光)の存在は「埋没」してしまう可能性は十分に想定された訳で、早期の対策が必要だったのではと思います。
宮崎交通という県内に一大エリアを持っているのに対し、三州自動車は対志布志、大隅方面へのエリアを細々と持つだけです。
となると都城中心地での利用は「利用があれば」という二次的なものとして捉え、むしろ岩川・志布志方面との連絡も視野に入れて大隅地方の利用者を新八代に向けさせるような大胆なルートで展開していれば、と思います。
これには従来からデフォルトであったと思われる鹿児島空港利用者を新幹線に向かせる「別な努力」も必要になりますが、「B&Sみやざき」とのコンセプトの違いを明確に示そうとするならば、自社エリアを十二分に活用するのが合理的と言えるでしょう。
あと考えられる細かなフォローとしては、現行でも都城市街地~都城北間の区間乗車を認めているものを、先に書いた大隅方面に拡大すれば既存の志布志~都城間の三州自動車の利用者をリレー号に振り替えられる訳で、言い換えれば「都城まで特急バス、都城からリレーバス」という具合に2つの使命を持たせておけば、既存路線の活用にもなります。
いわさきバスネットワークではそうした路線(鹿児島~志布志)がこれまでにもあるだけにそうしたケースをこの「リレー号」に適用しなかったのが本当に惜しい限りです。
路線設定の「不遇さ」、加えて頼みに綱だった都城市街地からの利用が思ったほどではなかった「不振」が重なった結果が今回の運行休止ではないかと思われます。

 

18時前にえびのJCTを過ぎ九州道へ。人吉を過ぎるとトンネルを過ぎるたびに夜が近づいている事を実感。
八代インターで高速を降り、一旦国道3号を南下するもののすぐに県道に入り、まっすぐ新幹線の高架へ向かって18時50分に新八代駅に到着。僕はSUNQパスだったのですぐに降りられましたが、もう1人の客は現金精算をしているらしく手間取っていました。

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鳴り物入りで登場したこのリレー号に充当されていたヒュンダイユニバースですが、この路線でリストラされた後はどこに行くのでしょうか。
願わくばこうした「不遇」な路線ではなく、もっと有意義な路線に再投入されることを願うばかりです。

(令和元年5月20日記事構成変更)

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