旅する炭屋~炭屋さんだって旅したい~

炭屋です。ヲタです。人畜無害です。何処かへ行ったり過去に前に挙げた内容を再掲したりしてます。

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寝台特急 サンライズ瀬戸号 大阪~東京

9月19日、福知山線の各駅停車に乗って大阪に着いたのが23時45分。JR神戸線、京都線のホームは土曜夜という事もあってか向こうが見通せないほど混んでいた。僕のいる「北陸・信州・東海方面」ホームは10数人程度・・・新潟行き急行「きたぐに」も20分ほど前に出発しているから、僕も含めてここにいる客の乗る列車は決まっている。

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「0時34分 特急 サンライズ瀬戸・出雲 東京」、あとはこの列車しかこのホームから出発しない。気がかりなのは中距離系の京都方面行き新快速電車が25分遅れであるとの表示。姫路方面での「輸送障害」で「サンライズ瀬戸・出雲」も遅延しないか・・・0時半になって各駅停車の高槻行きが出発。ホームにへたり込んでいる酔っ払いが駅員に促されて列車に吸い込まれていくサマがいかにも「終電」らしい雰囲気。僕自身「終電」にお世話になった事はほとんどないが、絵に描いたようなやりとりがおかしかった。

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その終電を見送って数分後、ホームのアナウンスと共に静かにベージュ色の電車が滑り込んできた。「サンライズ瀬戸・出雲」・・・285系は「被写体」として何度か接していたが「乗車」対象としては今回が初めて。

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手元にある寝台券は「サンライズ瀬戸」の「11号車25番」-「シングルデラックス」である。A寝台に乗るという事は稀だし、「個室」という寝台に至っては初めての経験である。
車内に入ってキョロキョロしているうちに発車。近くの部屋にいるはずの同行者が姿を見せない。車掌さんがすぐに検札に来た。しかし同行者はまだ姿を見せない・・・どこ行った?
落ち着かないままトイレに行き、戻ってくると僕の部屋の前に同行者が立っていた。いちいち同行者と書くのも煩わしいので、これから同行者の苗字から「K」とする。K曰く、
「いや、お前がいつまで経っても俺の部屋に来ないから心配して見に来た」
…そんな約束だっけ。まあ無事に合流できたんだし、それでいいか。Kの個室へ行き再会を祝す。

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相手はミルクティー、僕はチューハイというアンバランスさはあるけど。

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Kの部屋に行く前に自室を軽くチェックする。長いテーブルはそこそこ幅もあり、書類を結構広げる事ができそうだ。

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椅子の隣りには洗面台があってその後ろにベッドが続く。机とベッドが並行に置かれているためか「狭さ」を感じない。

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ベッドの枕付近にはインパネが仕込まれた空間があって室内の電灯関連のスイッチや付属の小型液晶テレビの操作も出来る。これはなかなかハイテクである。これで無線LANがあれば終点まで引きこもる事が可能だ(違

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感心したのはちょっとしたモノを置ける小さな棚が机の横やベッドの足元にあったりする事。荷物置きと言ってしまえばそれまでだがこういう空間が部屋の「余裕」を感じさせる。部屋のドアについているカギは数字4桁を覚えこませロックさせる方式。その番号は一旦開錠するとリセットされるので、設定がややメンドくさいが確実ではある。

 

2階部屋の目線から見える景色はかなり新鮮。真夜中ではあったけど複々線区間の大阪~草津間ははっきり言って「電車の屋根」からホームを見ているような感じ。街灯りが少なくなった高槻~島本間ではずっと向こうを走る阪急京都線の上牧駅が見えたくらい…
昼間の特急は全て停車する京都を「サンライズ瀬戸・出雲」はゆっくり通過するのを見たり、また阪神地区に住んでいては普段見ることは絶対無いJR琵琶湖線の「終電」(223系・野洲行き)を追い抜くのを見て趣味的に感動したりと、この列車に乗ってなければ見ることのできないモノばかりに感動の連続だった。だからかどうかは判らないけど未明の2時過ぎであっても眠さはほとんど感じなかった。

 

Kの部屋には、結局2時前に通過した米原付近まで居たが、まあさすがにこれ以上徹夜すると東京でのハードスケジュールに体力が持たない可能性があるのでKとは米原通過あたりを境に別れ寝る事に。その前にこの列車の設備で特徴的である「シャワー室」に行ってみた。
ここを利用するには専用のカードを買わないと利用できないが、A個室の客にはサービスでついてくる。ドアを開けると1mもない四角いスペースがあってここが脱衣場のよう。折戸を開けると大きなボタン2つとシャワーがあって「START」のボタンを押すと6:00と表示され次第にカウントダウン…つまりお湯がでるのは6分間という事。これはエラい事だと備え付けのシャンプーでアタマやカラダを急いで洗い・・・ふと気づくともう1つボタンがある。「STOP」とあったので押してみると湯は止まりカウントダウンも停止。なんの事はない。これで洗っている間はお湯は止めれるし、時間も稼げるのだ。ちょっと慌てて洗ってて損した気分だ(てっきり6分間お湯が出続けるのかと思っていた)
決して広いスペースでゆうゆうとシャワーを楽しめる、という風にはいかないけど軽く一汗流したいという声に応えるならば、これで充分だろう。

 

部屋に戻り、窓のシェードはそのままで横になってみる。時折車窓を過ぎ去る架線が少々邪魔ではあるが、横になりながら星明りを眺め物思いに耽れる空間を独り占めできるというのはなかなか贅沢な事である。
少しまどろんでいると不意に外が明るくなって停車したような気配・・・名古屋だった。こりゃまずい。ホントに徹夜になってしまう。さっさとシェードを閉めて灯りを消す。真っ暗な空間に遠くから聞こえるレールのジョイント音、乗ってる車輌が付随車(制御車でも電動車でもない)「サロハネ」という形式という事もあってかホントに静かだ。

 

* * * *

 

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途中何回か目が覚め、きっちり「起きた」のは4時40分頃の静岡停車中。時刻表上では大阪からここまではノンストップの扱いになっており、ここから横浜まで「乗降扱い」を始める。対東海地区での利用も少なからずあるようでシェードをあけて外を窺うと数人の下車があった。

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静岡を発車してベッドの背もたれに寄りかかり、まだ真っ暗な静岡市内をぼんやりと眺める。真っ暗とは書いたものの、東の空はすでに白み始めていた。

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清水を過ぎたあたりからその明るさは次第にはっきりしてきて富士山がくっきりとしたシルエットを見せてくれる。夢中になってカメラを構えるものの、夜景状態の風景をはっきり撮るのは至難の技で、出来上がりは「・・・」だった。

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富士停車時にホームに出てみる。空気がひんやりしていて気持ちがいい。パラパラと降りる客はなぜか足早。個人的にはもったいないような気がする。こういう個室ならもっと長い時間滞在したいと思うのだが・・・ファンの戯言ですな。

 

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通路側に移った富士山の撮影に再度トライ。この頃になると人家もはっきり見えてきて「朝が来た」という事を実感する。すれ違う普通列車ははっきりと車内を見た訳ではないが日曜、しかも連休の中日という事もあってか空きの方が多そう。
沼津を出て車窓は俄かに山の中。ほどなく丹那トンネルに突入しその長さに今更ながら感心し熱海へ。

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トンネルを出た直後にチラッと見える相模灘はこれからの車窓の楽しみを告げているかのようで嬉しくなる。熱海からはJR東日本のエリアへ。

前夜別れたKも起きてきてロビーでさっそく鉄道話で盛り上がる。

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我ながら朝から「濃い」時間を過ごしている。通路を挟んで両側に8つの椅子と控えめのテーブルが置いてあるだけの簡素な構造だが近くにはジュースの自販機もあるので、話し込もうと思えばできそう。欲を言わせて貰えば、ビール等の酒類の販売もやって欲しかったような・・・

 

撮り鉄の間では「聖地」になっている根府川の橋梁を過ぎたあたりから相模灘がこれでもかと思うくらい近づいてくる。箱庭的な瀬戸内海しか望めないJR神戸線沿線よりもこういう雄大な海の眺められる首都圏通勤者が少し羨ましく思った。

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小田原を悠然と通過し国府津から東海道貨物線に入った様子。休日のためかどの駅ものんびりとした雰囲気。「サンライズ瀬戸・出雲」も定時運行であるためか「飛ばしている」様子もなく貨物線を流すようにまったりと走っている。大船で先行のトカ線T電(東海道本線の中距離電車)を追い抜いた模様。貨物線から再び東海道本線に戻ったためか。

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車窓に緑が増えたな・・・と思ったら一気に都心に突っ込んだように人家やビルが急激に増え横浜着。大船~横浜間は住宅地と丘陵地が混在しているので場所によってこういう感じに見えるようだ。

 

Kの部屋に行くと荷物の整理に追われていた。
「降りる1時間前くらいから準備しないとな」
と言っていたのを思い出した。2泊3日という短い旅だが彼は1週間くらいの旅支度をしてきたみたいでしばし唖然。
川崎を過ぎすぐに多摩川を渡る。東京に夜行列車で来たのは2年振りになるか。2年前に乗った急行「銀河」ではこの多摩川はまだまだ真っ暗な時期。意外と長い橋梁に改めて驚き都内入り。

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品川を過ぎ再び自室にこもる。あと10数分しかここに居れない。そう思うともったいないような気がして再び横になる。大きなガラス窓の向こうには都庁かと思うほど高いビルが聳えており「非日常」の向こうの「日常」に触れたくない気がしてきた。もし1人旅で「サンライズ瀬戸・出雲」に乗ると決めて「シングルデラックス」のきっぷを取るとするなら多分大阪ではなく始発の高松か出雲市から乗っていたように思う。それほどまでに個室寝台としては完成の域に達しているように感じたからだ。7時間しか滞在できない「もったいなさ」と「次は絶対始発から」というファンの願望を感じさせる個室だった。

「まもなく東京、終点です。長らくのご乗車・・・」
アナウンスが終わると同時に東京駅に滑り込んだ。

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ホームに出て「お約束」の先頭車撮影を済ませ車内の状況を外から窺ってみる。使われなかった部屋は1両につき片手で充分余るくらい・・・つまりほぼ満席・満室だったという事だ。昨今、夜行列車の先細りが伝えられて廃止される列車が続出しているが、連休中という特殊な状況があるとは言えこれだけの盛況はなかなかのものではないだろうか。

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(2009年9月20日乗車)

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