JR北海道 臨時快速SLはこだてクリスマスファンタジー3号

【路線データ】

  • 事業者:JR北海道
  • 路線名:臨時快速SLはこだてクリスマスファンタジー3号
  • 車両型:C11 171 + DE10 1692 + 14系 + スハシ44 + ヨ4000
  • 路線型:臨時運行型
  • 乗車日:平成22年12月24日
  • 乗車区間:函館~大沼公園

【乗車記】

「道内時刻表」で何気なく函館線のページを眺めてたらこの列車の設定があった次第。で、函館駅に着いて「みどりの窓口」に明日の空席はあるかと尋ねたら全便空席があるとの事。午前中は函館観光をしたかったので昼からの3号の指定券をゲット。やや「釣られた」感がしないでもないですが・・・

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函館駅に入ると、快速「SLはこだてクリスマスファンタジー3号」はすでに横付けされていました。朝8時半前くらいに1号で出発し、大沼公園で折り返し2号として函館に帰ってきた便と推察。こげ茶色のDE10というのもなかなかクールです。
(国鉄発足の頃のディーゼル機関車でこういう色があったとか)

車掌車も今となっては超貴重品。国鉄時代の貨物列車には当たり前のように最後尾にぶら下がってたものでそれこそありふれた貨車でしたが、それがこうしてイベント列車に駆り出されるまでになった事に隔世の感すら感じます。

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行先表示は幕じゃなくてシールみたいにして貼ってありました。こうして専用のものを用意しているあたり、JR北海道の力の入れようを感じます。スハフ14も在来のブルーからこげ茶に変更。床下の発電機の音がやや煩わしいですが、色も旧型客車をイメージしたものと思われますし先に紹介したDE10といいディテールに拘った編成になっているなと感心しました。
こちらにSLが連結されるはずですが出発まで時間があるせいか、まだカゲもカタチも見えません。

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発車まで40分近くあったので、普通列車で次駅の五稜郭を往復して時間潰しのち函館に戻ると・・・おお、早くも人だかりが。SLに人気が集中しているだろうなと思ってたけどディーゼル機関車側もなかなかの人気。やっぱ普通のベンガラ色ではなくシックなこげ茶色が被写体としても最適なのかもしれません。

そしてSLと「ご対面」。牽引機はC11 171。車輪付近から蒸気を断続的に吹き、煙突からはアイドリングの状態でも勢いよく煙が噴き出しており「SLは生き物」という言葉に納得しました。こちらでも記念撮影が盛んに行われておりコンパニオンの女性2人も次から次へ、乗客からの撮影依頼に笑顔を絶やさず対応しなかなか大変そうでした。

先ほどは挿し込まれていなかったサボ(行先表示板)もちゃんと入っており、旅情をかきたてます。中間車には「スハシ44 1」という旧型客車からの改造である「カフェカー」が連結されており、半分座席車で半分飲食・土産物カウンター設置という国鉄時代には電車でしか存在し得なかった形式が客車で実現してました。「スシ」でもなく「スハ」でもなく「スハシ」という形式がレアもの好きな鉄道マニアの心をくすぐります。

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そのSLの機関室(運転台)では丁度乗務員さんがカマに石炭をくべているところ。じっと運転台に座って各種のスイッチやレバーを弄って運転する昨今の機関車と違って、全身を使って石炭をカマにくべ計器類をじっとみつめ「塩梅」を見計らってレバー操作する・・・「機関車を動かしている」というよりは「蒸気走行機械を操っている」といった感じでした。

席に戻るとほどなく発車。大きな汽笛が1発轟いた後、スーッと動くのではなくガクガクガクッと妙な衝撃があってガクッ、ガクッ、ガクッとしゃくりながら前進。昨今の列車に乗っている身には新鮮すぎます。

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先ほど写真撮影に奮闘していた2人のコンパニオンが車内を巡回し、「乗車証明書」を配ってまわってました。その後この列車の説明や「はこだてクリスマスファンタジー」のイベントの説明をしてくれましたが、僕は沿線の撮り鉄さんの多さに見入ってた次第。どこからこれだけの人が出てきたのですか?って思うくらい・・・ふと停まったなと思ったら七飯で「特急の待避をいたします」との事。函館線は100キロ以上で走る特急列車の街道だから仕方ない事か。ほどなく札幌行き特急「北斗11号」が轟音を立てて通過。モクモク煙を上げて停車しているこの列車が特急の乗客にはどう映ったのでしょうか・・・

ちなみにこの列車は普通列車扱いですが、時刻表上は大沼公園までノンストップ扱いなのでこの七飯でもドアは開きませんでした(快速といえば快速か)

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七飯を出ると渡島大野経由の本線を跨ぎ、こちらは「藤城線」を走ります。両方とも函館本線なのですが勾配を緩和した「藤城線」がSLにはうってつけの路線という事なのでしょうか。個人的には仁山のスイッチバックをSLで堪能したいところなのですが。

中間に連結されている「カフェカー」でコーヒーを注文し、ついでに車内探検をしたら、こんなものを発見。石炭ストーブなんて初めて見ました。横のバケツに盛ってある石炭はレプリカかなと思いましたが触ると指が真っ黒になり本物と判明。コーヒーを飲みながらほのかにストーブから伝わる暖かさにしばしほっこり・・・トンネルごとに汽笛が轟く車内はまんま昭和40年代です。

真っ白な水面の大沼の案内が始まるとそろそろ旅も終点に近づいているとの事。終点・大沼公園は片側1線の質素な造り。この列車は折り返し4号となるわけですが発車時間までは隣の赤井川駅で待機するとの事。お約束のSL前の記念撮影の波が途切れるのを見計らうようにして汽笛一声、大沼公園駅を後にしました。

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面白かったのは近くに居た警備員さんが「発車しまーす。耳をふさいでくださーい」としきりに声をかけられていた事。汽笛の音は腹の底に響く大音響なので子供だとびっくりして泣いてしまう例が多いとか。現代っ子にはSL自体がファンタジーな乗り物になってしまいましたが、現実の汽笛のすごさにファンタジーさとのギャップを感じて泣くのかもしれません(考えすぎか

(令和元年5月10日記事構成変更)

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